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韓国人にとって「青鶴洞(チョンハクドン)」という地名は、「理想郷」を意味する。この地名が歴史に初めて登場するのは、今から千年以上も前の新羅時代。そこは神仙が青い鶴に乗って遊ぶ地上の楽園、世俗のいかなる混乱とも無関係な場所と謳われている。
1960年代の初めごろ、昔ながらの伝統文化を尊び、世俗や文明を拒否した儒教の信者たちが人目を忍んで、韓国南部にある智異山(チリサン)の山深い海抜850メートルのあたりに移り住み、自給自足の暮らしを営んだ。ここに定着した人々が地域の管轄郡庁に村の地名を「青鶴洞」と申請したことから、その地名は正式にこの村のものとなった。
1982年、私は初めてここを訪れた。人里離れた山奥に、まるで朝鮮時代さながらの村があるという新聞のコラムを見て、興味をひかれたのだ。当時、韓国社会は高度経済成長のまっただ中にあり、生活環境や価値観が大きく変動していた。そんな時期に、なぜこの村の人々は時代に逆行した暮らしに執着するのか。私は驚くと同時に、青鶴洞の人々になぜか強く惹かれた。それ以来、年に数度はこの村を訪ね、世俗とは無縁の暮らしを営む同世代の若者と夜を徹して話すのが、なによりの楽しみともなった。
この村の子供たちは、村で運営する書堂(寺子屋)で『四書五経』、算術、礼節教育などを学んでいた。白装束に身を包み、結婚前は男も髪を切らず、結婚後にはまげを結う。倫理道徳、忠孝礼こそ人の正しい道であると信じている。
1980年代の終わりごろ、テレビコマーシャルに青鶴洞が登場すると、観光客や写真家が大挙してこの村に押し寄せるようになった。智異山が国立公園に指定されると、農業を営むことが難しくなった青鶴洞では、世俗の要求に応じて食堂や民宿、土産物屋などを経営するようにもなった。この時期、一部の住人は世俗の垢にまみれることを嫌い、新たな理想郷を求めてこの村を去っていった。
「青鶴洞は変わってしまった」と非難する世間の声もある。しかし戦後、私たちの暮らしの中で、変わらなかったものなどどこにあるだろう。生活様式は変わっても、彼らには変わらぬ信念がある。だからこそ青鶴洞は、今も存在し続けるのだ。そして私が青鶴洞の人々にレンズを向けるときの気持ちも、40年前となに一つ変わってはいない。私も彼らと同じ歳月を重ねて、年老いてゆく。
この写真集から、歳月の流れの中でも変わらないものが存在することを感じていただけたら、幸いと思う。
柳銀珪(RYU Eunkyu)
刊行:2007年 韓国 WOW Image
言語:日韓英独語の解説あり
判型:24.0cmX18.0cmX1.7cm
ページ数:200ページ
価格:4,000円(韓国→日本国内送料・税込み)
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